Lord of My Heart 〜呪われ伯爵の白い(はずだった)結婚〜




「エドの旦那はね、呪いを怖がっているだけなんだよ。あんたが疎ましいなんてきっと嘘だよ、マダム。元気をだしな」

 もとから赤らんだ頬をさらに紅潮させたマギーは、オリヴィアの肩を抱いたり腕をさすったりして、泣き止まない彼女を慰めようとしていた。

「いいえ、マギー」
 オリヴィアは力なく答える。「ノースウッド伯爵は嘘を吐くような方じゃありません。それに……彼の瞳は真剣だったわ」

 そして両手で顔を押さえると、さめざめと泣き出す。
 困惑するマギーの他にも小姓のジョーがその場に出くわして、オリヴィアを慰める集いに参加した。それでもオリヴィアは食堂の椅子に座り込んだままふさいでいた。

(いい気になっていた罰が当たったんだわ……)

 オリヴィアはそう考え、深くうなだれた。
 いつのまにかオリヴィアは、ここにいるのが当たり前のような気分でいたのだ。

 一ヶ月の約束があったことさえ忘れかけていて、夫が自分を受け入れてくれないのはただ、彼が『バレット家の呪い』を恐れているからなのだと思い始めていた。
 時間が経てばいつか彼の頑なな心も溶けて、本物の夫婦になれるのだと信じ始めていた。

 いつか、すべては夢に見たとおりになるのだと……。

 信じて……。

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