Lord of My Heart 〜呪われ伯爵の白い(はずだった)結婚〜

 新しい涙を目に溜めだすオリヴィアを抱えたマギーは、途方にくれて、「エドモンド旦那のことは彼が子供の頃からよく知ってるんだ」 と説明し始めた。

「いいかい、マダム。もし本当に旦那がマダムのことが嫌いならね、舞踏会の後でなんて言わずに、すぐにあんたを追い出すはずだよ。あの子はそういう子だよ」
「それは……」

 オリヴィアは顔を上げて涙を呑んだが、前向きな気分にはなれそうもなかった。
 もしそうだとして、なにが変わるというのだろう。
 エドモンドがオリヴィアを帰したいと思っている事実は変わらない。そして、妻というのは、夫の決定に従うしかない生き物なのだ。

 どうせならいっそ、今すぐ追い出してくれた方が楽だったかもしれない!

 舞踏会が行われるまでの5日間はひどく辛い生活になるだろう。オリヴィアは前向きで楽天的な人間であったが、忍耐強いというのとは少し違う。涙をこらえるのは苦手だ。悲しみを隠すことはできない。
 このままでは……

「いい加減にせんか、小娘が。泣くと不細工な顔がますます不細工になるのが分からんのか?」

 しわがれた声が背後から突然聞こえてきて、オリヴィアは振り返った。

< 190 / 310 >

この作品をシェア

pagetop