重いけどいいの?お嬢サマ
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「……へっくし!」
すぐそばで聞こえたくしゃみで目を覚ませば、隣に慧がいて。
なにもかけず寝たことにひとり反省。と思ったのに、私にも慧にもタオルケットが掛かっていた。
「……奏矢、矢絃」
近くの椅子に座り、こちらを見ていた二人にありがとうと小声で伝え、慧を揺さぶる。この際いつの間に入ってきたのか、なんて考えない。
「慧、慧起きて。部屋に戻らないと秋葉さんたちが──」
『おじょーさまぁー!慧おじょーさまぁー!』
『春夏冬!騒ぐのはやめなさい』
言っていた矢先に、廊下から慧を探す執事二人の声がした。
『だってお部屋にいないんですよ!?これ……もしや神隠し!?』
……だめだ。早く起こさないと。春夏冬さんがパニックをおこしてる。秋葉さんが抑えられなくなる前に慧を登場させなきゃ。
「慧、ここに美味しい美味しいステーキがあ──」
「どこ!?わたしのステーキ!」
「はい、おはよう。起きてすぐだけど、部屋を出て春夏冬さんのパニックを鎮めてきてね」