重いけどいいの?お嬢サマ
なにかを閃いた慧に聞く前に、ドアがノックされた。
すぐ近くにいた慧が『はーい』とドアを開ければ、奏矢がいて。何も頼んでいないのに、廊下にはティーカートが見えた。
「お、美形くん。一人か?」
「はい」
「どうしたの?奏矢」
「……お嬢様の寝不足が気になりまして、こちらを」
奏矢がカートを押して部屋に入ってくれば、甘く爽やかな香りがふわりと漂う。
香りでなんとなく何を持ってきたのかは察しがついた。
そっとテーブルに置かれたティーセットに、慧を鳴らす。
「これは……ドンピシャだな。さすが美青の執事。わたしも今しがた秋葉に頼もうと思ってたところだ」
グッジョブ!と慧が奏矢に言えば、奏矢はお決まりの笑みを浮かべる。
「慧、ハーブの香りは分かるの?」
「だってどれも鼻がスカッとするからな。普通の紅茶と違って」
それで見分けてる……というか感じ取ってるのね。
「カモミールのハーブティーです。少しでも解消になれば、と」
「……そう、ありがとう」
「わたしのぶんまですまないな、ありがとう」
「いえ、それでは失礼致します」