重いけどいいの?お嬢サマ
わたしにも粗めの口調でいいのにな、なんて呟きながら、慧は座る。
私も向かい側に座り、二人でハーブティーを一口。
「いい香りだな」
「ええ……」
「……それで、ってわけじゃないが、結局のところ寝不足の原因ってなんなんだ?」
原因──
『オレと付き合って。そうすれば一緒にいられる』
矢絃から言われたことが、顔が、頭を過っていく。
執事から告白された、なんて。
大事な友達である慧にすら、話してもいいのか。
そもそも他の誰かに伝えて大丈夫なのか。
……頭の中が、ごちゃごちゃになる。
「美青」
ティーカップに手を添えたまま俯き黙り込む私の手に、慧の手が重なった。
「言いたくないなら、無理に聞きはしない。でもこのままその顔が続くようなら、わたしも多少強引にいくぞ」
いつものあっけらかんとした慧の声ではなく、聞くのが珍しいほど落ち着いた声で……ゆっくりと顔を上げれば、真っすぐ私を見据える慧と目が合う。
言っても……いいのか──
もし、言わない選択をしたら、私はひとりで悩み解決まで辿り着けるのか、分からない。
言ったからと解決するわけでもない。
でも、ひとり悩み続けるよりは……いいのかもしれない。