重いけどいいの?お嬢サマ
「……ねぇ、慧」
「なんだ」
「私が何を言っても、誰にも何も口外しないって約束してくれる?」
秘密にして、ってよく小さい時に友達同士で言い合ったりしても、必ず誰かがどこかで話して、その約束はいとも簡単に破られる。
幼かったから、と言われたらそこまでだけど、もう今はそんな簡単に約束を破るような歳ではない。
明かす相手さえ、間違わなければ。
「……勿論だ。美青に信頼してもらえるなら、わたしは裏切ったりしない。約束する」
私の手を両手で包み込み、慧は大きく頷いた。
……うん、慧なら、大丈夫。話しても、大丈夫。
深呼吸をしてから、部屋に泊まったとか事細かなことは省いたものの、私は慧に矢絃から言われた言葉をそのまま話した──
矢絃から好きだと付き合ってと言われて、どうしていいのか分からない……返事の仕方によっては今の関係さえも危うくなるのではないかという思いも、打ち明けた。
「……寝不足にもなるわけだ。執事とは毎日のように顔を合わせるからな」
「だから、どんな言葉を返すのが……正しいのか分からないのよ」
「美青は?美形くん弟とどうしたいんだ?」
「どうって……」
「ぶっちゃけ隠れて付き合うことは出来る。いくらお互いの立場上タブーだとしても。……ただ、二人の執事がついているし兄の方も賢いからバレるのも時間の問題になりそうだけどな」