重いけどいいの?お嬢サマ
急に自分に振られ、思わず『えっ』と声をもらせば慧は言えと顔を寄せてくる。
「……慧に、矢絃のことを話したあの時」
「うん」
──『なら、恋愛の相手としては考えないってことだな?』
「矢絃を恋愛対象としては考えてないって言ったでしょ?」
「ああ、弟くんは家族と同じ好き、なんだろ?」
「そう。だけどね……恋愛の相手って言われた時、私変だったの」
「変?」
「……奏矢のことが浮かんだの。言われた言葉とか顔が」
自分から話したいことがあるって言って、いざ話してみると、なんか……熱いし恥ずかしくなってきた。
「美青、それって……それって恋愛的な意味で美形くん兄を好きってこと?」
「え?」
目を見開く慧と、間抜けな顔をしているであろう自分の視線がまじわる。
二人して瞬きを繰り返す。
私が、奏矢を──好き?
家族や友達とは違う、恋愛的な意味の……好き?
好、き──
"俺のことだけを考えて見てろ。そうすりゃ俺は強くなれる"
"大事な女、取られてたまっかよ──"
っ……!?
少し言葉とか顔を思い出しただけなのに、いっきに顔が火照ったのが分かり、気づけば目の前の慧の顔は緩んでいて……。
「……わたしも色恋には疎いが、美青も疎かったみたいだな。ははっ」