重いけどいいの?お嬢サマ
疎い、のだろう。
交流会も縁談もろくに異性との交流はせず、度々お父さんの仕事関係でパーティーに駆り出されてはひと気ないところでやり過ごしてきた。
だから、ちゃんとした男の人との繋がりは奏矢と矢絃しかいなかったから。
避けて歩いてきたぶん、疎く育ってしまったのね。
「わたしも、子どもの時からこんなんだから男子より強かったりで女子に囲まれることが多かった。だから、今になって困ってるんだろうな」
「……そうね」
「でも疎いもの同士、執事への恋心を抱くもの同士が……わたしの大好きな美青で良かった。気兼ねなく相談できるからな」
「慧……」
美青もそうだろ?と問われ、私は大きく頷いけば慧は満足そうに笑った。
「って、笑ってる場合じゃないよな!?どうすんだ!?」
「どうって……私はまず矢絃に返事をして……なるべくいつも通りですーって感じでいくつもり。変によそよそしいと奏矢に気付かれそうだし」
「確かに。それは言えてる。わたしも慌てないことを心がける……多分」
多分ってあたり、慧の自信のなさが見える。
それに今の慌てぶりを見たせいか、私も不安になってきてしまう。
だけど、慧の言う通り。お互いが同じ立場で同じような恋愛の仕方をしている。だから、相談し合えるっていうのは、疎いもの同士……心強い。