重いけどいいの?お嬢サマ


左には好……気になってる執事。
右にはすでに告白してきた執事。


口が裂けても恋愛絡みの話、なんて暴露できるものか。


「それより、何で二人して冬物を持ってきてなかったのよ」


話を変えるため、というのもあるけれど今、車に揺られている理由を聞いていなかったから。


──小さな行事やテストと季節が過ぎていく中で、お嬢様たちも執事も、冬装備になるわけだけど……


『クロゼットに冬服ねぇんだわ。俺と矢絃』


月曜の朝、起こしにきた奏矢が私のクロゼットを開けながらそう言った。

矢絃はカーテンを開けながら、『寒い』と一言もらし、私の布団に潜り込んできて。


周りの皆も私もコートを着たり着なかったりする中、かなやいは全く着ていなかった意味に気付いた。

土日で言ってくれれば、取りに行けたのに。
二人して気付いてなかったのかしら。


『……取りに行きましょ。佐藤にはちゃんと言っておいてね』

『なんなら外泊届けでも出して泊まってこようぜ。せっかくだし』

『あー、たまにはいいかも。まあ冬休みもあるけど、オレ外泊届けだしてみたい』


という流れで、私もバタバタしていたし……目のくまも改善されつつあるのだから、佐藤には会いたいってことで外泊届けを出した。
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