重いけどいいの?お嬢サマ
慧にはこのことを伝え、寮で話せない分だと学園にいる時はほとんどくっつかれたまま過ごしていた。
「……いや、単に夏休みあたりとかちょくちょく帰った時に持ってくればいいだろって思ってたんだけどよ」
「普通に忘れてたよね。オレらコートもなければ、冬のパジャマもないから寒いし」
……珍しい。
どちらかが忘れているパターンならまだしも、二人して忘れていたなんて。
夏休みは置いていても、交流会あたりからバタつかせてしまったせいはあるかもしれない。
勝負とか、ね。
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家に着くなり、私は出迎えてくれた佐藤へ恒例のハグ。
そして、こちらも恒例の睨むかなやい。
「……その様な顔をしてはいけませんよ」
佐藤に注意されるのももうセットみたい。
──ゆっくりと食事を楽しんだ後、冬物の準備をしてくるというかなやいと別れ、私は自室で慧とテレビ通話をしていた。
『美青が隣の部屋にいないのが寂しーぞ!』
ドアップで映る慧に苦笑いしながら、私はごめんごめんと謝った。
「……でもね、タイミング的にはいいかなって思ってるの。返事をするには」
学園、寮、と矢絃ひとりだけを呼ぶことは中々難しかったから。
予定では二泊三日。この間に、矢絃と話せるようにしたい。
『そうか。美青らしく伝えられるといいな』
「ありがと……」
『んで、兄の方は!?』
「ちょ、声大きい!!」