重いけどいいの?お嬢サマ
その視線に申し訳なさと恥ずかしさでモジモジとしながら、春夏冬さんは用具室にいた理由を話し始めた──
「さ、最初はポケットに入れ忘れたハンカチを取りに戻ったのですが、その後……警備員さんの腕章が落ちてることに気付いて……」
「届けに行ったのか?」
「は、はい。交代の途中に落としたのだろうと、他の警備員さんに言われて……届けに行った帰り……その……」
……なんとなく、春夏冬さんが何を言おうとしてるのか理解出来る。
この年齢であまり人前で口に出したくはない言葉だろう。
「春夏冬、あなた寮内で"迷子"になったのですね」
「う"……!!」
秋葉さん……意外と容赦なく迷子と言った……
しかも春夏冬さんのリアクションもまた何も隠さないとこがいい。隠せないのかもしれないけど。
「なるほどな……迷子ねぇ……迷子……」
テーブルの一点を見つめ、迷子と繰り返す慧に、春夏冬さんは慌ててもう一度謝罪をする。
「も、もっ申し訳──」
「あっははは!」
──はい?