ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女
 思い出すのは、グランピングで見た橘さんの笑顔。

 クレーマーに絡まれているところを見た時は、彼女のことをか弱い女の子だと思っていた。

 しかしそのイメージは、瞬く間に覆されることになる。

 子どもと向き合う時、橘さんはいつも真剣だ。その中でも気配りや思いやりを忘れない姿は、まさに保育のプロであった。そんな橘さんを見て、自然と彼女のことを尊敬するようになっていった。

 そして近頃は橘さんに対して、尊敬とは違う感情が芽生え始めていたのだ。

「どう考えても、恋だろうなぁ」

「ぶっ!?」

 松葉がボソリと言ったひとことのせいで、ビールを吹き出しそうになる。ギリギリ耐えたものの、俺は盛大に咳き込んだのだった。

「おや、図星か大和」

「げほっ、げほっ!! っ、は、何だよ、いきなり……!」

「言葉そのままの意味だよ。お前と橘さん、傍から見たらどう考えても友達以上だろってこと。彼女、大和と一緒にいて楽しそうだし。な、圭人?」

「うんうん、間違いない」

 松葉の意見に賛同するように、圭人は深く頷く。この二人は、こういう変な時に限って意見が合致するのだった。
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