ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女

おまわりさんになった理由

「はーい、青波(せいは)くん、ボールさん行くよー!」

 私はそう言って、二歳児の青波くんに向けてゆっくりとボールを転がした。すると青波くんは、ボールを両手でキャッチして嬉しそうに手をパタパタさせた。

「すごーい! 上手にキャッチできたね!」

 私はパチパチと拍手して、笑顔でめいっぱい青波くんを褒める。

(少し恥ずかしがり屋な子だって保護者の方からは聞いてたけど……大丈夫そうね)

 青波くんとボール遊びをしつつ、私は内心ホッと胸を撫で下ろした。

 私と黒崎さんは、街の児童館で保育ボランティアに参加していた。

 今日は児童館の二階でベビーマッサージの講習会が行われており、保護者の方と赤ちゃんが講習を受けている間、一階で上の子と遊ぶのが今日の仕事だ。

 とはいえ、講習会が少人数制ということもあり、今回は子ども一人にボランティアが一人つけることになっていた。一対一ならば目が行き届くので、ボランティアはみな、余裕を持って子供たちと遊んでいた。

 そして、黒崎さんはどこにいるのかと言うと……。

「大和くん、見て見て! 葉っぱが五つのクローバーがあったよ!」

「おおっ、よく見つけたね!」

 黒崎さんは葉月ちゃんと一緒に、児童館の庭で四つ葉のクローバー探しをしていた。
< 103 / 145 >

この作品をシェア

pagetop