ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女
「葉月はこの前、お友達に作ってもらったから、今日は葉月が大和くんに作ってあげたの! 葉月は大和くんに、指輪を作ってもらったの!」

 見れば、葉月ちゃんの左手の小指には、シロツメクサの指輪がはまっていた。

「……そういうことです」

 得意げに胸を張る葉月ちゃんと、困ったように笑う黒崎さん。そんな二人を見て、私はつい笑い出してしまった。

「っ、とってもお似合いですよ、黒崎さん、ふふふっ」

「もう、めちゃくちゃ笑ってるじゃないですか」

「指輪、ハンカチに包んで持って帰らなきゃ。陽菜ちゃんにも見せてあげるの」

「良いね、そうしよう」

 そんなやり取りをしていると、急に風が吹いて、葉月ちゃんがカバンから取り出したハンカチが飛んでしまった。

「あ! 葉月のハンカチ!」

 幸いにも、ハンカチは庭に植えられた木の枝に引っかかった。ちょうど、黒崎さんなら手が届く高さである。

「待っててね、すぐ取るから」

 そう言って立ち上がろうとした黒崎さんのシャツの裾を、葉月ちゃんは軽く引っ張った。
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