ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女
「ねえねえ、大和くん」

「どうしたの?」

「あのハンカチ、葉月が取りたい。だから、高い高いして?」

「えっ!?」

 どうやら葉月ちゃんは、黒崎さんに「高い高い」をしてもらって、ハンカチを取りたいらしい。

 たしかに、お父さんに肩車されているのを見たことがあるので、葉月ちゃんはおそらく、持ち上げてもらったりするのが好きなのだろう。

「じゃあ、いっせーのーで、で持ち上げるからね?」

「うん!」

「いっせーのーでっ!!」

 黒崎さんに高い高いをされて、葉月ちゃんは無事にハンカチを取ることができたのだった。

「良かったね、じゃあハンカチはカバンにしまって……ん?」

 見ると、青波くんは黒崎さんのことを真ん丸な目でじっと見つめていた。

(もしかして、黒崎さんのことを怖がっちゃった!?)

 そう思ってあやす体勢を整え始めた時、青波くんは黒崎さんに向かって両手を伸ばした。

「高い、抱っこ!」

「えっ……と?」

「もしかして、黒崎さんに高い高いしてほしいのかな? 高い高いする人!」

「あい!」

 私の質問に、青波くんは元気に手を挙げた。
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