ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女
 市民祭当日。会場の市民公園に行くと、園内は大賑わいとなっていた。

(消防署と警察署の体験スペースは、西側みたいね)

 場内マップを片手に、私は人混みの中を歩いていた。

 桃子や実夏と休みが合わず、私は一人で市民祭に来ていた。夏祭りよりも混み具合は落ち着いているものの、やはり大勢の人がいる中をひとりで歩くのは少しだけ心細い。

(黒崎さんがいてくれたらなぁ……)

 歩きながらも、そんなひとことが頭をよぎる。そして思い浮かぶのは、黒崎さんの優しい笑顔。

(……って、何考えてんの私……!)

 私にとって黒崎さんは特別な存在だけれども、彼からすれば、きっと私はただの友達に過ぎない。

 そう思い直したところで、私は黒崎さんのいる展示エリアに到着した。

「わあ……」

 消防車が何台も立ち並ぶ光景を見て、私は息を呑む。

 警察と消防は合同で出展しており、無料で消防車やパトカーの乗車体験ができるようになっている。

 黒崎さんのいる警察の体験エリアは、消防体験エリアを抜けた奥にあるようだ。

「消防車の乗車体験の待機列はこちらでーす」

 消防のエリアには制服を着た消防士が何人もいて、乗車体験やお仕事紹介スペースで子どもたちの相手をしていた。

「すごーい! おっきい車かっこいい!」

 消防車に乗せてもらった子たちは、嬉しそうに歓声を上げていた。子どもの楽しそうな笑い声を聞くと、やはり頬が緩んでしまうものだ。

 警察のエリアに行くと、黒崎さんの姿はすぐに見つかった。
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