ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女
「宇城さーん! 休憩行ってきてくださーい」

「はーい。ちょうどいいわ。橘さん、歩きながら少し話さない?」

「え? あっ……はい」

 なぜか宇城さんの笑顔は、断りづらい圧のあるものであり、私はつい頷いてしまったのである。



「うちの会社は新車種の宣伝の一環で、車のプラモデル作りのワークショップをやってるの。朝から大賑わいだったけど、だいぶ落ち着いてきて良かったわ」

「そ、そうなんですね」

 企業がブースを構えるエリアを抜けて、飲食の屋台が並ぶ道を歩きながら、私て宇城さんは話していた。

「ちなみに、橘さんはどこを見に来たの?」

「私は……黒崎さんがパトカーの乗車体験のところにいるって聞いたので、それを目的に来ました」

「へえ、私も後で行ってみようかな」

「ところで、宇城さん……お昼ご飯、食べなくて大丈夫なんですか?」

 宇城さんは、先ほど屋台で野菜のスムージーを買っただけで、それ以外は何も口にしていなかった。

「ああ、平気よ。いつもお昼は飲み物かスープだけで済ませてるの。炭水化物を食べると眠くなっちゃうし、太るもとだから」

 宇城さんはにこやかに言ったものの、その言葉はどこか刺々しいものに感じられた。

(美意識が高い人はダイエットをする以前に、そもそも太らないって聞いたことがあるけど……まさにそんな感じかしら)

 体力勝負で、お昼の給食をしっかり食べないと午後を乗り切れない保育士とは、まさに正反対である。宇城さんと歩きながら、私はそんなことを考えていた。

 飲食屋台のエリアを抜けて、私たちは公園の展望台に続く坂道にまでたどり着いた。この道には露店もないので、人通りはまばらである。
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