ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女
「ねえ、橘さん。大和って、とっても優しいと思わない?」

 坂道を上る途中で足を止めて、宇城さんは言った。

「どう思う?」

 どう答えようか迷っていると、宇城さんは答えを催促するかのように、私にもう一度問いかけた。その口元は品の良い笑みを浮かべていたが、目はまったく笑っていない。

「えっと……はい。優しくて思いやりがあって、素敵な方だと思います」

 黒崎さんへの恋愛感情を抜きにしても、それは紛れもない事実である。私は素直に、頷いた。

「そうよね。大和は、昔からそういうタイプなのよ」

 坂道から公園の景色を見下ろしながら、宇城さんは言った。その目は、公園の景色よりも遥か遠くを見ているようにも感じられた。

「子どもの頃、大和と同じ柔道教室に通ってたんだけど……私、背が高くてその時はショートカットだったから、男子たちに『生意気なオトコ女』って言われて嫌がらせされてたの」

「……っ」

「でも……そんな私を、大和は友達二人と協力して助けてくれた。『弱いものいじめするな』っていじめっ子たちに怒ってくれたの。それからは、嫌がらせもなくなっていったわ」

 友達二人というのは、おそらく香坂さんと加賀見さんのことだろう。

「子どもの頃からずっと、素敵な人だったんですね。黒崎さん」

 絵本のクマのお巡りさんを思い浮かべながら、私は頷いた。

「じゃあ、橘さん。そんな素敵な人には、どんな女の子が釣り合うと思う?」

 私を真っ直ぐに見据えて、宇城さんは言った。
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