ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女
□

「今日もありがとうございました」

「じゃあね。ばいばい、優花先生！」

「ばいばい、気をつけて帰ってね」

　最後の一人の児童を見送ってから、私は事務室へと戻る。あとは教室内に忘れ物がないか確認したら、おしまいだ。

　事務室に行くと、黒崎さんが机に座ってノートに書きものをしていた。

「橘さん、お疲れ様です。教室の忘れ物チェックまで終わりました」

「ありがとうございます。じゃあ、帰る準備をしましょうか。大変だったと思いますが、一日お疲れ様でした」

「……いえ」

　私は軽く挨拶したつもりだったが、黒崎さんの表情はいつの間にか浮かないものになっていた。まさに意気消沈だとか、しょんぼりという言葉がぴったりな程に。

「その……忙しくて疲れちゃいましたか？」

「いいえ、違うんです。ボランティアに来たはずなのに、子どもたちにも怖がられて……まったく役に立てなかったのが、本当に申し訳なくて」

　ため息混じりに、黒崎さんは言った。どうやら彼は、かなり落ち込んでいるようだ。
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