ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女
(何と言うか……外見の威圧感が強すぎて見逃してたけど、黒崎さんって喜怒哀楽が顔に出やすいタイプなのかしら?)

 背が高くて逞しい身体つきであるはずの黒崎さんが、今は萎んだように小さく見えた。

「い、いえいえそんな! 手伝ってもらえてとっても助かりましたし、人見知りの子も意外といるので……っ、そのうち仲良くできますよ!」

 慌ててフォローするものの、人懐っこくていつも元気いっぱいな子も黒崎さんを怖がっていたのは事実だ。しかし、そんなこと口が裂けても言えない。

「恥ずかしながら、子どもから怖がられるのは、これが初めてじゃないんです」

「え?」

「少し前に、イベントの警備をしていて迷子の対応をしたのですが、自分が顔を見せただけで、子どもに大泣きされてしまったんです」

「あらあら」

「結局、自分だと対応しきれなくて、応援呼ぶはめになりました。迷子の対応で応援を呼ぶなんて、前代未聞ですよ」

「……っ」

「この前だって、うちの交番の前を近所の保育園の子たちが散歩で通りがかったんですが、目が合った途端に乳母車の中にしゃがんで引っ込んでしまって……何とか子供慣れしたくて、今回参加したのですが……なかなか難しいですね」

 そう言って、黒崎さんは寂しげに笑った。
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