ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女
 花びらが、一枚、二枚、と増えるたびに、身体の熱は上がっていく。それは私だけではなく、黒崎さんも同じようだった。

 急ぐことなく丁寧に、黒崎さんは自らの熱を私の身体に分け与える。それはまるで、親鳥が雛鳥に餌を少しずつ口移ししていくようなものだった。

 しかし、そんな優しい『口移し』で、私たちの夜が終わることはなかった。

「橘さん……俺を、受け入れてくれますか?」

 『より深く結ばれたい』、と身体の奥に指で訴えながら、黒崎さんは耳元で囁く。

 二人でこの部屋に来た時から、私はそんな「お誘い」を断る気なんてなかったのに。

「……っ、もちろんです」

「橘さん……っ」

 閉ざされていた場所が開かれ、赤い花が散る。

 堪えきれず流れた涙を、黒崎さんは舌先で舐めとった。

「橘さんが大丈夫な強さでしか、動きませんから……だから、安心してください」

 泣く子をあやすように、彼はとんとん、と私の腰あたりを優しく叩いた。

(やっぱり黒崎さんは、怖いオオカミなんかじゃなくて、いつだって優しいクマさんなんだ)

 そんなことを考えて、つい口元を緩ませる。私は無意識に、泣き笑いのような表情になっていた。

「ん、どうしました?」

「ふふっ、優しいお巡りさんと一緒なら……どんな時でも怖くないな、と思って」
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