ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女


「先に起きてたなら起こしてくださいよ、黒崎さん……!」

「可愛い寝顔を見てたら、このまま二度寝しても良いかなと思って、つい」

「もう……!」

「ふふっ、すみませんってば」

 部屋に運ばれてきた朝食を食べながら、私たちはそんなやり取りを繰り広げていた。

 大きめの白い皿には、ふわふわのオムレツとサラダ、そしてミニサイズのアサイーボウルが盛り付けられていた。

 そしてベイカリーバスケットには、クロワッサンやチョコ入りのミニデニッシュ、ほうれん草のロールパンが並んでいる。

 どれも美味しくて、大満足である。

「機嫌、直してくださいよ」

「むー、知りませんよ」

 ディナーでの少し重い空気はどこへやら。部屋には、私と黒崎さんの和気あいあいとした喋り声が響く。テレビをつけていないのに、室内は賑やかそのものだった。

 ちなみに、朝食は二人並んで食べたいと黒崎さんに提案されたため、昨夜とは椅子の配置を変えていた。

 ディナーでは丸テーブルを挟んで二人で向かい合わせになっていたが、今はテーブルに、二人で隣合うように座っている。

 二人で寄り添いながら見る早朝の景色は、昨夜の夜景よりも一層美しく感じられた。

「朝食も、お口に合ったようで良かったです」

「……ひぁ!?」

 突然、黒崎さんは顔を近づけて、私の口元を舌でペロリと舐めた。

「なっ、なっ、なっ……!?」

 まるで恋愛漫画の一場面のようなできごとに、私は顔を真っ赤にして固まる。

「オムレツのケチャップ、口についてました」

「っ、だったら、お手拭きでいいじゃないですか……!」

「ふふっ、少しだけ、意地悪したくなっちゃって」

 悪びれることなく、黒崎さんはサラリと言ってのける。

 その表情は、優しいお巡りさんではなく、からかい上手な恋人そのものだった。
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