ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女
「困りましたね。昨夜みたいに、可愛がって大切にしたい反面……それだけじゃ物足りないんです」

「く、黒崎さんの欲張り……!」

「そうだなあ。もしかしたら俺、欲張りで食いしん坊なクマなのかもしれません」

「わっ……!」

 私を横抱きにして、黒崎さんはベッドへと向かう。これの流れは完全に、昨夜と同じである。

 嫌な予感がして、私は黒崎さんにそれとなく言った。

「その……黒崎さん? 帰る準備もありますし……」

「チェックアウトは十二時なんで、まだたっぷり時間はあります。だから‘‘二度寝’’しても問題ありませんよ」

 そう言って、黒崎さんは舌を絡めるようなキスをする。その一回で、昨夜に味わった感覚を思い出すのには十分すぎた。

 黒崎さんの言う二度寝というのはつまり……ただ単に寝るのではなく、「そういう意味」も含んだ二度寝なのだろう。

「ね、寝るの意味が違う……!」

「そういうのは嫌でした?」

 私をベッドの上に組み敷きながらも、同意していないので黒崎さんがそれ以上することはない。

 ただ私としては、お誘いにはやはり乗りたくなるものだ。

「嫌……ではないですけど……」

 直接的な言葉を避けて言うと、黒崎さんは嬉しそうに笑う。

「もし、疲れて動けなくなったら……ちゃんと抱っこしてお風呂に入れてあげますから」

「っ!? それは、恥ずかしいから絶対に駄目です……!」

 全力で首を振るものの、黒崎さんが「冗談です」という気配はない。彼は何も言わず、私の着ているバスローブの紐を解いた。

「とりあえず、あとの話は楽しんでからでいいじゃないですか」

「っ……!」

 優しいクマはいつの間にか、ちょっぴり意地悪だけど、優しいオオカミに様変わりしていた。

 それでも、彼が愛しいのは不思議とまったく変わらないことだ。

 そんなことを思いながら、私は黒崎さんと共に「二度寝」を楽しみ始めたのだった。
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