ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女


「橘先生も黒崎さんも、ありがとうございました。お陰様で、ゆっくりできました」

 そう言って、葉月ちゃんのお母さんは何度も頭を下げた。私たちが葉月ちゃんと陽菜ちゃんを見ている間、少しはリフレッシュできたようで、何よりである。

「いえいえ、私たちも葉月ちゃんたちと遊べて楽しかったです」

「葉月も楽しかった!!」

「ふふっ、……優花先生、お元気そうで安心しました」

 葉月ちゃんと手を繋ぎながら、お母さんは私にそう言って笑いかけた。

「……え?」

「私も葉月も、優花先生にとても助けていただいたので、退職される前にお礼を言えなくて心残りだったんです」

「そんな、大したことは……」

「いえいえ、この子、アレルギーもあるし食べ物の好き嫌いが多いじゃないですか。献立を工夫しても食べてくれなくて、そこにつわりもあって……正直、気持ちがだいぶ参ってたんです。あの時は本当に、ありがとうございました」

 たしかに、葉月ちゃんは小麦と卵のアレルギーがあり、お野菜が苦手で少食だったのを覚えている。担任になった当初は、食べられるものの方が少なかった程だ。

 しかし、葉月ちゃんは給食のお野菜を、毎日ひとつは食べると私と約束してからは、とても頑張ってくれた。年度が終わる頃には、給食のおかわりをするまでになっていた。

「橘先生が担任だったから、葉月も偏食を克服できたんですもの」

「そんなことないです、葉月ちゃんとお母さんが頑張ってくれたからですよ……!」

 アレルギー持ちの子だと、アレルギー食材を抜いて料理を作ったり、通院したりと保護者の負担も増える。そのため、葉月ちゃんのお母さんだって大変だったはずだ。
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