ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女
「橘さん?」

「っ、な、何でもないです……!」

 それから、姉が迎えに来るまで黒崎さんと雑談していたのだが、正直何を話していたのか全く覚えていない。

 姉からのメッセージを受信したスマートフォンの通知音が鳴り、ようやく私は我に返ったのだった。

「あ、姉が到着したみたいです。西側の駐車場に停めてるみたいなので……」

「なるほど、じゃあ行きましょうか」

「え? ひあっ!?」

 なんと黒崎さんは、私を横抱きにしたのである。

「あ、ペットボトルだけ持ってもらって良いですか? バッグは俺が持ちますので」

 彼は自分と私の二人分のリュックを持ちながら言った。

「黒崎さん! 私、もう大丈夫ですから、下ろしてください……!」

 脚をジタバタさせるものの、黒崎さんは首を横に振る。どうやらこのまま、駐車場まで行くつもりらしい。

「何言ってるんですか。無理しないでください」

「そんな……お、重いですから……! 疲れちゃいますよ」

「全然平気です。体力バカを舐めないでください」

「……っ」

 私の言葉に動じることなく、黒崎さんは駐車場に向けて歩き出した。

 実は医務室まで運ばれた時も、黒崎さんに横抱きされていた。先ほどは意識が朦朧としていたので何とも思わなかったが、意識がはっきりとした今は、たまらなく恥ずかしい。
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