ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女


「あ、黒崎さん、お疲れ様です」

「橘さんも、お疲れ様です」

 レジ業務に戻ると、お昼ご飯を買いに来た黒崎さんが私のレジに並んで声をかけてくれた。

「今日はお昼でも、だいぶ空いてますね。あ、Sサイズのレジ袋一枚お願いします」

「はい、特売のチラシがない時はこんな感じなんですよ」

 雑談をしながら、お弁当やペットボトル飲料をレジに通していく。

 ゴールデンウィークのイベントボランティアをしてからも、私たちは予定を合わせて学童や他のボランティア活動に参加していた。

 また、黒崎さんは仕事の時必ず「アシタバ」に昼ごはんを買いに来るため、顔を合わせる機会も多い。いつしか彼とは、気軽に話せる間柄になっていた。

「今日はデザートがどら焼きなんですね、珍しい」

 レシートを渡しながら、私は言った。

 黒崎さんは毎回、お弁当とセットでデザートをひとつ買うのだが、プリンやシュークリームなど洋菓子が多い。なので、和菓子を買うのが珍しく思えたのだ。

「はい、前に橘さんからいただいたどら焼きが美味しくて、最近和菓子も好きなんです。それに、季節限定っていうのも気になって……」

 よく見ると、どら焼きのパッケージには「季節限定いちごクリーム」と書かれていた。

「ふふっ、たしかにこれは買いたくなっちゃいますね。じゃあ、お仕事頑張ってください」

「ありがとうございます」

 軽く会釈してから、黒崎さんは立ち去って行った。

 たった二、三分ほどの、何気ないおしゃべり。しかし、私は不思議と口元が緩むのを感じていた。
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