ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女
「すみません、うちのツレがそちらのお友達にちょっかいかけてたみたいで……」

「っ、おい、その言い方は……!」

「いえいえ、とんでもない。この子おっちょこちょいなことがあるから、お兄さんと一緒にいてくれて助かりました」

「も、桃子……?」

「あ、ちなみに、私たち三人でお祭りに来たんですけど、そちらも三人グループでしたか?」

「そうなんです、奇遇ですね」

 私と黒崎さんを除く四人は、訳知り顔で話を進めていく。それは、彼らが私たちの関係を勘違いしていることに他ならなかった。

「じゃあせっかくなんで、‘‘四人で’’一緒にまわりませんか?」

「ぜひぜひ。じゃあお二人さんは、どうぞごゆっくり」

「なっ……!」

 私と黒崎さんが何か言うより先に、桃子と実夏は黒崎さんの友達二人とどこかに行ってしまった。

 残されたのは、私と黒崎さんの二人だけ。祭囃子も喧騒も、やけに遠く聞こえるような気がした。

「すみません、何か……自分のせいで色々と」

「黒崎さん、良かったら……お祭り、一緒にまわりませんか?」

 申し訳なさそうに項垂れる彼に、私は言った。

「さっき助けてもらったお礼に、屋台で何かご馳走させてください」

 こうなったら、いっそ二人で楽しもう。自然とそう考えていたのだ。
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