ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女

縁結びか縁切りか

 カラフルな水風船が浮いた水の中に、銀色のフックをそっと沈める。フックに輪ゴムを引っ掛けて、ゆっくりと持ち上げると……。

 釣り上げる途中で、こよりはちぎれてしまった。

「む……なかなか難しいですね」

 ヨーヨー釣りに失敗して、黒崎さんは渋い顔をした。

 私と黒崎さんは飲食の屋台に行く前に、遊戯屋台をまわっていた。意外と遊戯屋台には大人の客も多く、私たちもやってみようとなったのだ。

「じゃあ、次は私がやりますね」

 そう言って、私は水風船の品定めを始めた。

 ヨーヨー釣りのコツは大きく二つ。

 まずひとつ目は、軽い風船を選ぶこと。半透明に透けた風船の中を覗いて、なるべく入っている水が少ないものを探すのだ。

 そしてふたつ目は、引っ掛ける輪ゴムの輪っか部分が水面に浮いているものを狙うこと。

(……よし、これだ!)

 私はひとつの水風船に狙いを定めて、輪ゴムの輪っかをフックに引っ掛けた。

 そして無事に、私は黒色の水風船を釣り上げたのである。
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