ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女
「ちょっと兄ちゃん! 本職はお断りだよ!」

 店主のおじさんは黒崎さんに慌てて言った。その言葉に、周囲が一斉にどよめき立つ。

「本職って……まさか」

「いや、さっきの見ただろ? どう考えたって普通の人じゃないよ」

「や、ヤクザ……!」

「バカちげぇよ、拳銃を使うのは、たしかヒットマンって言うんだよ……!」

 どうやら、黒崎さんは子どもたちからあらぬ誤解を受けてしまったらしい。……実際は、悪い人を取り締まる側なんだけれども。

「っ、橘さん、逃げましょう!」

「えっ、あっ……!」

 おじさんからクマのぬいぐるみを受け取るや否や、黒崎さんは私の手を引いて射的の屋台から離れていった。

「あっ、ヒットマンが逃げた!」

 そんな声を背中に受けたけれども、私たちが足を止めることはなかった。
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