ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女


「思ったより、たくさん遊べましたね」

 境内の一角に作られた飲食スペースのイスに腰掛けてから、黒崎さんは言った。

「はい、何だか子供時代に戻ったみたいで……ふふっ」

 話す途中で、私は耐えきれず吹き出してしまった。

「どうしました?」

「いえっ……黒崎さんってば、射的の屋台で逃げようって言うもんだから……っ、それじゃあ余計に勘違いされちゃうと思って……!」

「し、仕方ないでしょ、あの時は俺なりにテンパってたんですよ……!」

「どうするんですか、明日、子どもたちが学校で‘‘お祭りでヒットマンを見た’’とか言われてたら……っ、ふふっ」

 先ほど射的の屋台にいた子どもたちが、教室で真剣に黒崎さんのことを話している光景を想像した途端、一層笑えてきてしまうのだった。

「それは……違いないですね、ふっ」

 私につられたかのように、最後は黒崎さんも笑いだした。

「……さて、笑い疲れたところで、食べましょうか」

 テーブルに屋台で買った食べ物を並べながら、黒崎さんは気を取り直すように言った。

 射的を楽しんだあと、私たちは飲食の屋台をまわって買い物をした。買ったのは焼き鳥と焼きそばとたこ焼き、そしてデザートのイチゴ飴とマスカット飴だ。

 輪ゴムを取ってプラスチック容器を開けると、テーブルの上は一気に賑やかになった。
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