ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女


「花火、綺麗でしたね」

「はい、花火を見るのは何年かぶりだったんですけど、すごく楽しかったです」

 花火が終わり、私たちは神社のお参りに向かっていた。花火を見終えると帰る人や屋台に向かう人が多いため、神社のほうは空いているのだと、黒崎さんが教えてくれたのだ。

「そう言えば、橘さんはここのお祭りに来るのは久しぶりですか?」

「はい、なかなか友達と予定が合わなくて……学生の時以来です。黒崎さんは?」

「俺は……そうですね、悪縁を切りがてらって感じで、なんだかんだダチと毎年来てますね」

 悪縁と聞いて、先ほど聞いた警察官としての仕事の話を思い出す。

「仕事は楽しいですし、嫌ではないですけど、さすがに身の危険だとかそういう悪いこととの縁は切っておきたいというか」

 黒崎さんは、少し困ったように笑った。

 警察官である以上、彼は常に危険と隣り合わせであることは事実だ。そう思うと、急に胸が締め付けられた。

「お陰様で、一回怪我した以外は無事に過ごせているんで、それなりにご利益はあるのかもしれませんね」

「……」

 桃子と実夏と夏祭りに行こうと決めた時、私は神社で自分の縁切りを願おうと思っていた。

 そして黒崎さんとお祭りをまわっていく間に、やっぱり彼との縁結びを願おうと、密かに思い始めていたのだ。

 しかし。

 自分のことよりも、黒崎さんの無事を願いたい。そんな感情が芽生え始めていた。
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