ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女
「お賽銭の小銭ありますか? 何枚か持ってきたんで、分けれますよ」
「っ、大丈夫です」
お参りの列に並ぶ間も、黒崎さんとのたわいのない会話が続く。それがなぜか、とてつもなく贅沢な時間に感じられた。
神様に願えるのは、縁切りか縁結びのどちからひとつだけ。
お賽銭箱の前に来たタイミングで、すぐに私の心は決まった。
(どうか、黒崎さんの悪縁が断ち切れて、彼がこれからも無事でありますように)
柏手を打ったあと、私は心の中で願った。黒崎さんは、自分自身の縁切りを願うだろうから、きっと二人分の願いなら叶えてくれるはず。そんな淡い期待をしながら。
お参りを終えて参拝の列から外れたあと、黒崎さんは立ち止まった。
「そうだ、すっかり忘れてました」
「?」
「これ、どうぞ」
差し出されたのは、彼が射的で手に入れたクマのぬいぐるみだった。
「そんな……いいんですか?」
「ふふっ、もちろんです。今日一日、お世話になったお礼です」
首元に赤いリボンを結んだクマのプラスチックの目は、周囲の明かりを反射してキラキラと輝いて見えた。
ただ単に、黒崎さんとしては、ぬいぐるみが不要だっただけなのかもしれない。しかし私からすれば、ぬいぐるみは特別なプレゼントに思えて仕方がなかった。
「っ……ありがとうございます」
「いえ。じゃあ、そろそろ帰りましょうか。駅まで送りますよ」
こうして私たちは、神社をあとにしたのだった。
「っ、大丈夫です」
お参りの列に並ぶ間も、黒崎さんとのたわいのない会話が続く。それがなぜか、とてつもなく贅沢な時間に感じられた。
神様に願えるのは、縁切りか縁結びのどちからひとつだけ。
お賽銭箱の前に来たタイミングで、すぐに私の心は決まった。
(どうか、黒崎さんの悪縁が断ち切れて、彼がこれからも無事でありますように)
柏手を打ったあと、私は心の中で願った。黒崎さんは、自分自身の縁切りを願うだろうから、きっと二人分の願いなら叶えてくれるはず。そんな淡い期待をしながら。
お参りを終えて参拝の列から外れたあと、黒崎さんは立ち止まった。
「そうだ、すっかり忘れてました」
「?」
「これ、どうぞ」
差し出されたのは、彼が射的で手に入れたクマのぬいぐるみだった。
「そんな……いいんですか?」
「ふふっ、もちろんです。今日一日、お世話になったお礼です」
首元に赤いリボンを結んだクマのプラスチックの目は、周囲の明かりを反射してキラキラと輝いて見えた。
ただ単に、黒崎さんとしては、ぬいぐるみが不要だっただけなのかもしれない。しかし私からすれば、ぬいぐるみは特別なプレゼントに思えて仕方がなかった。
「っ……ありがとうございます」
「いえ。じゃあ、そろそろ帰りましょうか。駅まで送りますよ」
こうして私たちは、神社をあとにしたのだった。