ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女
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「こんにちは、翔くん。初めまして」

　公園のベンチに座った私と翔くんの前まで来ると、黒崎さんはしゃがんでから、明るい口調で挨拶した。ややぎこちなさは残るものの、笑顔は作れている。

「優花ちゃんのお友達の大和です。今日は、お兄ちゃんも一緒に遊んでいいかな？」

　事前の打ち合わせどおりに、黒崎さんは翔くんに挨拶と一緒に遊ぶお願いをした。

　この一連の流れには、子どもを怖がらせないテクニックがいくつも含まれている。

　まず、子どもは背が高い人に見下ろされると怖がってしまう。だから黒崎さんは、話しかける前にしゃがんだのだ。

　また子どもは大人の感情に敏感なため、暗い声色で話すのは厳禁だ。多少わざとらしくとも、コールセンターのオペレーターのごとく明るい声で話すよう、黒崎さんにはレクチャーした。

　そして恐怖心を与えないため、命令口調ではなく、一緒に遊んで良いか、と依頼系で声をかけてもらった。

　服装の面では、威圧感を与えないために黒は避ける。また表情が分かるように、帽子は被ってこないよう、黒崎さんに伝えていた。

　まさに、翔くんを怖がらせないために、できることは全部やったのである。

(どうか……黒崎さんのためにも、泣き出しませんように)

　心の中で願いながら、私は翔くんの隣で様子を伺った。
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