ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女
「……いいよ」

 しばらくして、翔くんはこくんと頷いてくれた。

「っ、ありがとう! とっても嬉しいな」

 言葉と表情で、黒崎さんは目いっぱい嬉しさを表現した。子どもとのコミュニケーションは、分かりやすくはっきり伝えることが重要なので、完璧な対応だ。

「良かった。じゃあボールとドロケイ、どっちで遊ぶ?」

「んーと、ボール」

「よし、じゃあ三人で遊ぼう」

 リュックから幼児用の柔らかいボールを取り出し、私たちはボール遊びを始めた。

「翔くん、行くよー!」

 私はそう言って手を振ってから、翔くんのほうにボールを転がす。すると彼は、見事に両手でキャッチした。

「おお、すごいすごい!」

 すかさず黒崎さんは、手を叩いて翔くんを褒めた。

 どんな些細なことでも、子どもは褒めたら喜んでくれるものだ。黒崎さんには、翔くんをたくさん褒めるよう事前に伝えていた。

「えいっ!」

「おっ、ナイス!」

 ボールを持ち上げてから、翔くんは黒崎さんに投げた。一度バウンドしたものの、ちゃんと黒崎さんのところに届いたのだった。
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