ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女


「ボール遊び、楽しかったー!」

「ふふ、良かったね」

 しばらくボールで遊んだあと、私たちはベンチでお茶飲み休憩をしていた。ゴールデンウィークのイベントでの失敗を踏まえ、翔くんに麦茶を飲ませつつ、自分の水分補給も忘れない。

 三人がけのベンチでは、黒崎さんと私の間に翔くんを挟む形で座っている。

 黒崎さんが隣に座るのを、翔くんは許してくれたのだ。どうやら二人の距離は、順調に縮まっているようだ。

「ねえねえ、次はドロケイやりたい!」

「ドロケイって、ドロボーを警察が捕まえるドロケイ?」

「うん!」

 お姉ちゃんから聞いた話によると、少し前に保育園のレクリエーションでドロケイをしたらしく、翔くんはすっかり気に入ったのだという。

 特に警察官役をするのが好きで、近頃は将来の夢が警察官になったらしい。

「ぼくと優花ちゃんは警察官。大和くんはドロボーさんね!」

「よし、分かったよ」

 翔くんにドロボー役を命じられた黒崎さんは、快諾してくれた。おそらく翔くんは、ドロボー役を割り振った相手が警察官だとは思ってもみないだろう。
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