ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女
「優花ちゃん、バッジとネクタイちょうだい!」

「はーい、どうぞ」

 私はリュックから、昨日翔くんと一緒に作った折り紙のネクタイと、フェルトのワッペンを取り出した。

 保育園では、警察官役は折り紙のネクタイ、ドロボー役は腕章を付けていたらしいので、それを聞いて作ったのだ。また、より「警察官ぽく」するため、ワッペンを追加したという訳だ。

 私がネクタイとワッペンを着けてあげると、翔くんは小さな警察官に様変わりした。

「そうだ。リュック、ベンチに置いたままだと危ないんで、俺が持ちますよ……たち……っ、ゆ、優花ちゃん」

 翔くんにじっと見つめられ、黒崎さんは慌てて言い直す。

「ありがとうございます、黒崎さ……」

「大和くんだよ、優花ちゃん」

「っ、や、大和くん……!」

 翔くんに言われ、私も言い直す。恥ずかしさのあまり、黒崎さんの顔が見れない。

「じゃあ大和くん、十数える間に逃げていいよー」

「っ、は、はーい」

「いーち、にーい……」

 翔くんがカウントを始めると、黒崎さんはリュックを背負って公園の芝生の上に走って行った。
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