ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女


「はい、どうぞ。ゆっくり飲んでね」

「ありがと!」

 ストローを刺してパックのぶどうジュースを渡すと、翔くんは美味しそうに飲み始めた。

 三人で目いっぱい遊んだあと、私たちは芝生にレジャーシートを敷いて、お昼ご飯の準備をしていた。

 私が持ってきたのは、ポテトサラダやレタスを挟んだサンドイッチと、生クリームとフルーツを挟んだフルーツサンド。黒崎さんは、おやつに子ども用のビスケットとグミを買ってきてくれていた。

「大和くんも、何かジュース飲みます? 全部子ども用なんですけど」

 水筒に入れたお茶とは別に、私はパックジュースを味違いでいくつか持ってきていたのだ。

 そしていつの間にか、私は黒崎さんを「大和くん」と呼ぶのに慣れ始めていた。……慣れとは恐ろしい。

「いえ、翔くんの分をもらうのは申し訳ないので……」

「ジュース、大和くんにも一個あげる! 優花ちゃんも、はい」

「っ、あ、ありがとう」

 遠慮している黒崎さんに、翔くんは野菜ジュースを手渡した。それから私には、りんごジュースをくれる。

「いっただきまーす」

 ジュースを片手に、私たちはサンドイッチを食べ始めた。
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