ホスト科のお世話係になりました
「ここってなんですか?」
その質問には答えて貰えず、先生はスーツのポケットから名札を取り出して私に手渡してきた。

それには《お世話係》とだけ書かれている。
「それを右胸につけてから入室してね」
「え。先生は一緒に入らないんですか?」

「先生はここまでよ。じゃ、頑張ってね」
先生は私の肩を軽く叩いてもと来た廊下を戻っていく。

私はその後姿を見送ってから、自分の左胸に受け取ったネームをつけた。
お世話係としての説明とかなにもなかったけれど大丈夫だろうか。

そんな不安を懐きながらドアをノックする。
中から「はい」と、短い返事が聞こえてきてひとまずホッとした。

誰かがいるのは確かみたいだ。
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