その息尽きるまで時間は無限

「なあ佳凪？今日何すんの？」

わざとらしく弾ませた声で佳凪に問う真。

それに対して楓がうざったそうに、

「いやさっき俺が準備したの見たっしょ」

と言って床の方向を指差す。

私も真をつられて指を点線に従うように追うと…


「じゃじゃーーっん！あははははは！！！濡沢〜？よかったじゃん。私があんたの汚ねぇ顔をお水できれいに洗い流したげるよ？」


笑いが堪えきれないと言うふうに佳凪が叫ぶ。






楓の指を追った先は…


おそらく床を拭いた後の雑巾を洗った後の、明らかに汚い…黒ずんだ

バケツに入った水。


見た瞬間、発作のように素早く吐き気が私を襲った。

同時に、今日一日我慢していた涙が溢れ出す。



皮肉なことに、まだ感謝すべきかは分からないが、
雑巾をバケツで洗った後はいつも残る髪の毛や固まったほこりはきれいに取り除かれていた。

ただ黒ずんだだけの水。

だとしても汚いことに変わりはない。

要するに、心への傷は変わらない。