警視正は彼女の心を逮捕する
「ほら行くよ、時間は有限だから」

 しっかり腰をホールドされてしまっていることに、密かに安心してしまう。
 途端に。
 彼のアフターシェービングローション、熱さ、筋肉。
 鷹士さんを構成するパーツに五感を刺激されてしまい、私はキャパオーバー寸前だ。

 失神寸前な私を気遣ってか、鷹士さんが話題を振ってくれる。

「俺達の職場の周辺は、美術館はたくさんあるんだね」

 これに乗らないと、気づまりにUターンだ。

「そうなんです。でも、なかなかナイトミュージアムを味わえなくて」

 都内は働いている人も多いが、美術館もたくさんある。
 でも大型企画となれば、全国から人が押し寄せてくる。

 土日はやること満載だし、美術館は混雑して無理! 
 という美術愛好家のために、曜日限定だったりはするけれど十八時以降も開館してくれているところが増えてきた。
 それがナイトミュージアムだ。

「日菜乃がなかなか見学できないのは、修復室から出ないからだとふんだけど。違うのかな?」

 う。

「……的確なツッコミ、ありがとうございます」

 なんの、と楽しそうだ。

「これからは俺が日菜乃を連れ出すよ」
「…………ありがと、ございマス」
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