警視正は彼女の心を逮捕する
 鷹士さんは知らされていたようだけど、私は完全なサプライズ。
 嬉しさと幸せでべしょべしょの泣き顔になってしまったけれど、みんながメイクを直してくれた。

『ヒナノには政治家(ポリチコ)より殿様(プリンチペ)のほうが似合うわ』
 師匠が使ったヴェールを被せてもらったとき囁かれた。

 着慣れたワンピースだったが、青い花が混じっているブーケを渡される。
 そしてピカピカのお揃いの結婚指輪が用意されていた。

『サムシング・フォーだっけ。借り物を一つ、青いものを一つ、新しいものを一つ、古いものを一つ。……イタリアでも風習があるのか、わからないが』

 鷹士さんは呟きながら、私の左の薬指に指輪を嵌めてくれた。

 私の番になったけれど、震えてしまって指輪を落としそうになり。
 最後には鷹士さんが、指輪をもっている私の手を掴んで固定させ、自分から嵌めにきてくれた。

『私、賀陽鷹士は終生、日菜乃を愛し守り、幸せにすることを誓います』

 最初に日本語で、それから周りの人達にわかるようにイタリア語で誓言してくれた。
 私も同じように二カ国語で誓う。

『誓いのキスを!』
 師匠に言われて、スイカズラのアーチの下でキスをした。

 その晩、師匠達は外出してくれ、元の私の寝室で愛し合って……。 

 *

 ぶるっと体を震わせる。
 だめだ、思い出してしまっては腰砕けになってしまう。
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