警視正は彼女の心を逮捕する
 言いながらも、後ろめたい。
 だって、私こそがそう思ってた(・・・・・・・・・)んだもの。

 片思いだったくせに、『お手伝いさん』としか思われていなかったくせに、勘違いしていたんだから。
 でも、悠真さんの名誉のためにも、きちんと説明しなければ。

 バックミラーの中の彼女はあら、というような表情だった。

「やだ、あの人ったら。本命には手を出せないタイプなのかしら」

 本命?
 私が、悠真さんの。
 バックミラー越しに私の目を見た綾華さんが、にこりと微笑む。

「誤解があったのね。でも、大丈夫よ。私は二人を応援するるわ」
「……なにを言ってるんですか……?」

 彼女の言葉が理解出来ない。
 私が聞いているのは、本当に日本語?

「私達は幼馴染なだけです。悠真さんの家を出てから、彼とは一度も連絡を取り合っていません!」

 けれど綾華さんは冷たく言い放った。
 
「困るのよ、夫の面倒をあなたが見てくれないと」
「誤解です!」

 必死に訴えたが、届いた様子はない。
 ふ、と嗤う声が聞こえた。
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