警視正は彼女の心を逮捕する
「マル被・賀陽日菜乃、マル被・宗方悠真が滞在している料亭に到着。これより接触すると思われる」
料亭を監視していた捜査員より報告が入った途端、室内にざわめきが走る。
視線が一斉に鷹士に集まった。
日菜乃が連れていかれた料亭は、セレブ御用達。
もちろん宗方家も懇意にしており、プライバシーを徹底的に守ることを謳い文句にしている。
何度も試みたが、覆面捜査官を潜入させることは出来なかった。
「日菜乃」
かすかに呟いたのち、鷹士は通話モードが継続中であることを確認。
大会議室が緊迫したなか、鷹士は己の携帯を機器に接続するよう指示した。
室内いっぱいに二人の会話が流れる。
日菜乃と悠真とのやりとりが伝わってきたが、全く事件のことに踏みこまない二人に、不遜だが場がしらけていく。
「……痴話喧嘩かよ」
ぼそっと誰かが呟き、鷹士の絶対零度のような視線を受けて震え上がった。
一同、上司より目を逸らし、流れてくる音声に全力集中する。
と。
思いがけなく、日菜乃から夫への誠実な愛の言葉が聞こえてきた。
捜査員達が、なんとなしに捜査の責任者を盗み見る。
今回のことで新たに加わったあだ名の
『血管には血液ではなく、氷河が流れている』はずの警視正は。
相変わらず無表情だが、ピリピリした殺気が吹き消されて穏やかになっている。
「……なんだ、課長。奥さんにベタ惚れじゃん」
誰かの呟きが、会議室にいた人間の総意だった。
料亭を監視していた捜査員より報告が入った途端、室内にざわめきが走る。
視線が一斉に鷹士に集まった。
日菜乃が連れていかれた料亭は、セレブ御用達。
もちろん宗方家も懇意にしており、プライバシーを徹底的に守ることを謳い文句にしている。
何度も試みたが、覆面捜査官を潜入させることは出来なかった。
「日菜乃」
かすかに呟いたのち、鷹士は通話モードが継続中であることを確認。
大会議室が緊迫したなか、鷹士は己の携帯を機器に接続するよう指示した。
室内いっぱいに二人の会話が流れる。
日菜乃と悠真とのやりとりが伝わってきたが、全く事件のことに踏みこまない二人に、不遜だが場がしらけていく。
「……痴話喧嘩かよ」
ぼそっと誰かが呟き、鷹士の絶対零度のような視線を受けて震え上がった。
一同、上司より目を逸らし、流れてくる音声に全力集中する。
と。
思いがけなく、日菜乃から夫への誠実な愛の言葉が聞こえてきた。
捜査員達が、なんとなしに捜査の責任者を盗み見る。
今回のことで新たに加わったあだ名の
『血管には血液ではなく、氷河が流れている』はずの警視正は。
相変わらず無表情だが、ピリピリした殺気が吹き消されて穏やかになっている。
「……なんだ、課長。奥さんにベタ惚れじゃん」
誰かの呟きが、会議室にいた人間の総意だった。