警視正は彼女の心を逮捕する
「……ん」
「日菜乃、目が覚めたか」

 瞼をあげたら、鷹士さんが顔の上にいた。

「……鷹士さん?」

 私は身をおこす前に旦那様に抱きしめられた。

「すまなかった……!」

 せつなそうな声。
 耳元で聞こえた言葉に、泣きそうになる。

「守ると約束したのに、君を苦しませた!」

 私の目にみるみる涙が盛り上がってくる。

「う」
「辛かったな、悪かった」

 泣いていい、と言われ。
 私は子供のように泣きだした。

「……これからも、そんなことがあるかもしれない。けれど俺はもう君を放してやれないんだ」

 嗚咽のあいま、耳に届いた言葉。

 彼のお仕事は、きっとそういうもので。
 鷹士さんの傍にいる限り、これからもそうなのだ。
 この人を諦めるか、厳しい環境を受け入れるか。
 私に選択肢は一つしかない。

 ……どれだけ泣いたろう。
 私は鷹士さんに膝まくらをしてもらいながら、濡れタオルを目に当てている。
 倒れた私を、お医者さんのチェックが終わったのち、鷹士さんが家へ連れてかえってきてくれたらしい。

 頭を撫でてくれながら、鷹士さんがポツリポツリとあらましを語ってくれた。

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