警視正は彼女の心を逮捕する
 なんでも美術品の贋作事件が日本各地で起こっており。
 鷹士さんの帰国を待って広域捜査本部が設けられ、その指揮を任されたと。

「……鷹士さんが全国のトップ?」

 私は濡れタオルをどかした。
 まじまじと夫を見つめてしまう。

「……私の旦那様、ものすごーく偉いんでは……」

 予想以上だった。

「この事件だけだ」

 はにかんだ声。
 同時に照れた顔を見られたくないのか、鷹士さんは私の顔にタオルを載せてしまう。

「あん」
 
 意地悪!
 ジタバタしても、タオルの上からしっかりと押さえつけられていて、身動き出来ない。
 諦めると、戒めも無くなった。
 鷹士さんはやや早口で続きを教えてくれた。

 警察……、鷹士さん達は綾華さんのお父さんを疑っていたこと。
 綾華さんが私に接触したことで、なんと私まで容疑者に入ってしまったと。
 ぎょっとした。

「私が?」

 それって。もしかして、ものすごくまずいのでは。

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