警視正は彼女の心を逮捕する
「ごめんなさい! 警察官は身内から犯罪者出しちゃいけないんだよねっ……むぐ」

 飛び起きようとして唇を抑えられてしまった、彼の唇で。

 息が苦しくなったら離してもらえたけれど、寂しくなった。
 甘えたくなり腕を伸ばして鷹士さんの服を掴めば、手ごと包んでくれる。

「日菜乃のせいじゃない。『シロでもクロと疑う』のが警察なんだ」

 むしろ君は犯人側に嵌められた被害者だと、心底辛そうに謝られてしまった。

「……私のせいで鷹士さんが内通者って思われてしまった?」

 遠慮がちに訊ねると。

「そんなことはない」

 食いつき気味に返事をしてくれた彼の口調に、自分の勘が当たってしまったことを知る。
 だから連絡できなかったんだ。

「肩身が狭かったでしょう、ごめんなさい」

 慰めたくて、もう片方の腕も伸ばす。
 鷹士さんが手のひらにキスをくれてから、頬擦りしてくれる。

 うわわ。
 いかなるときでも、アモーレな旦那様だな!

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