【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。


「はい、ケーキ」

 お母さんがケーキを出してくれる。

「あ、ありがとう」

「絵梨紗の大好きなチーズケーキにしたよ」

「ありがとう。 いただきます」

 お母さんが用意してくれたチーズケーキを一口食べると、チーズの濃厚な風味が口いっぱいに広がる。

「んー、美味しい」

「アンタ、そこのチーズケーキ好きよね」

「うん、大好き」

 チーズケーキ最近ずっと食べてなかったけど、久しぶりに食べるとなおさら美味しい。
 
「ねえ、絵梨紗?」

「ん?」

 お母さんは私に「絵梨紗の彼氏、どんな人なの?」と聞いてくれるから、私は「優しい人だよ。私のこと、大切にしてくれるし」とケーキを頬張る。

「そう。何してる人なの?」

「弁護士さん」

「弁護士さんなの? あら、すごいわね」

 お母さんも祥太くんが弁護士と聞いてビックリしていたけど、「立派な人なのね」と嬉しそうに微笑んでいた。

「うん。……実は、彼は私の初恋の人なの」

「え? 初恋の人?」

 確かにこれは、お母さんにも言ったことはない。初めて話すかもしれない。

「うん。実は最近、大学生の時に好きだった人と、偶然再会してね。……それでその時に、お互い両思いだったってことがわかってさ」

 お母さんはそれを聞いて「あら、それは素敵だこと。 それって運命ってことかしらね?」と嬉しそうにしていた。 

「七年ぶりの再会だったの。 でも私、七年間ずっと彼に恋してたんだよね。……ずっと、忘れられなくて」

「でも、忘れなくて良かったんじゃない?」
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