【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。
私がそう問いかけると、祥太くんはビックリしたのか驚いていた。
「やっぱり、そうなんだ」
私はまたコーヒーを飲んだ。
「なんで……絵梨沙はそう思うんだ?」
祥太くんは私は見ている。
「なんでかな。……私の勘かな」
「勘? なんだそれ?」
「祥太くんて本当は、お父さんのこと大好きなんじゃないかって思ってたんだ。……医者になりたくないって言ったのも、本当はお父さんのことを尊敬してるからなんじゃないかなって思ってさ」
私の勘が当たってるとは思ってはいない。けど少なからず、祥太くんがお父さんのことを大事に思ってるってことは私もわかってる。
だからこそじゃないかと思ったんだ。祥太くんはお父さんを尊敬してるからこそ、お父さんを超えることが出来ないってわかったんじゃないかって。
だからあえて、医者にはならないって言ったんじゃないかと思ったんだ。
「……絵梨沙って、意外と勘が鋭いんだな」
「やっぱり当たってた?」
私がそう聞くと、祥太くんは少しだけ残念そうな顔をして「ああ。 絵梨沙の言うとおりだよ」とマグカップをテーブルに置いた。
「俺も医者になれたら良かった。 もちろん、なるべきだと思ってた」
祥太くんはゆっくりと話し始めた。
「でも俺は気付いたんだ。 俺は父さんみたいな医者にはきっとなれないし、どうしたって父さんを超えることが出来ない……そう思ったから、医者になることをやめた。 だから、弁護士になろうと思ったんだ」
「……祥太くん」