失恋には、甘いものより橋立君。
職員室に向かう途中、空き教室から響の声が聞こえてきた。

「もうこれくらいにしとこうよ。」

え?なに?誰と話してるの?

「え~、もうちょっとしようよー。お願い!」

遙香の声?

「仕方ないなぁ。もうちょっとだけだよ?」

「うん!やったぁ!」

その直後、何も会話が聞こえなくなった。何してるんだろう。恐る恐るドアの隙間を除くと…。

2つの影が重なっているのが見えた。

キス、してる?深く、何度も離れてはまた重なり合い、何度も何度も繰り返されている。

どういうことなの?何してるの?

私はパニックになって、音を立てないようにその場を急いで去った。

そのまま誰もいない女子トイレに入ると、涙がこぼれてきた。

なんで?なんで?どうなってるの?
遥香と響は実の姉弟なのにっ!!

あんな濃厚なキスしてるなんて。 
あのキスを見る限り、2人はお互いに愛し合っているようだった。

響だってまんざらでも無い感じだったし、何より嬉しそうだった。

訳が分からない。
2人は恋人同士なの?
実の姉弟なのに? 
どうして?
いつから?

遥香が告ってきた男子全員振るのも、響が女の子に興味がないのも、2人がお互いに恋をしているからなの?

響はいつだって、誰も好きにならないから安心してたけど、まさか、遥香が好きだったなんて。
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