最悪な結婚のはずが、冷酷な旦那さまの愛妻欲が限界突破したようです
「臨は、みんなを幸せにするんだな」

「お、大げさですよ」

 さすがに褒めすぎだ。すると貴治さんは、どこに置いてあったのか、一冊の古ぼけたノートを差し出してきた。

「そんなことない」

 受け取ってページをぱらぱらとめくる。中身は、祖母の日記だった。

 読んでいいのだろうか、と迷ったが少しだけ見てみる。奇しくも、私を引き取ると決めた辺りだった。

【夫も娘も亡くしてつらかったけれど、私には臨がいる。今からの子育てに不安がないわけではないけれど、臨をひとりぼっちにはさせられない。私もひとりになったからこの子と一緒だ。臨がいるから前を向いてがんばろう】

【臨が、手紙を書いてくれた。いつもありがとうって。それは私のセリフ。臨がいるから毎日が幸せ】

 そこから日記は、徐々に私の成長記録をメインに書き記されている。大変なことや苦労、弱音も書かれているが、最後は私の成長と私がいて幸せだといつも締めくくられていた。

 気がつけば涙があふれ、ノートを濡らしてしまわないように閉じる。貴治さんは私の肩をそっと抱いてくれた。

 ずっと後悔ばかりだった。申し訳なくて、苦しくて。叔父夫婦や従兄からは疫病神だと罵られて、自分を責めていた。

 おばあちゃんの人生、私がそばにいて幸せだった?

 今まで思い出せなかった祖母の笑顔が自然と心の中に浮かぶ。そうだ、おばあちゃんはいつも幸せそうに微笑んでいた。
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